加賀藩2代藩主前田利常には、とても可愛がっていた舶来の猟犬がいました。
ところがある時、その愛犬に襲われた家臣が愛犬を斬り殺したのです。
死罪にしましょうかと利常に伺いが立てられると、利常は理由を尋ねさせます。
その家臣の申し立ては、
主君が大事にしている愛犬なので、これを斬り殺せば自分の命もないだろうとは元より承知のこと。
しかし犬に襲われて自分が死んだとすると、もし自分の子孫で名のなる者が出てきたとき、「あの者の先祖は犬に食われて死んだ」と後ろ指をさされて笑われるに違いない。
そのようなことになるくらいならば、犬を斬り殺して自分の命を捨てる方が本望だ。
と答えたのです。
それを聞いた利常は、もっともなことだとその家臣の罪を許したそうです。
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