戦国時代の名馬に関する逸話を紹介します。
山内一豊と妻千代~どうしても名馬が欲しい!!
『常山紀談』に書かれている有名な逸話です。
一豊が信長に仕え、一大イベントである京での「馬揃え」を控えていたある日、安土に東国から馬商人がやってきて「東国一の駿馬」とするものを売りに出しました。確かに見事な馬でしたが高価すぎて誰も買えなかったそうです。
貧しかった一豊もその一人で、家に帰って妻の千代にその話をすると、千代は鏡台の底から金十両を出して馬を購入するように伝えたといいます。一豊が驚いて金の出所を尋ねると、「嫁ぐときに夫の一大事に使えと父から持たされたものです。今がその時だと思いましたので是非その馬を買ってください」と答えたといいます。
一豊は大喜びしてその馬を購入し、信長の馬揃えに出たところ、見事な馬だと信長の目に留まります。
信長に馬の経緯を尋ねられ、一豊は包み隠さず事の次第を説明したところ、
「東国一の馬が我が地で売りに出されて家中の者が誰も買えず帰してしまうのは織田家の恥となるところであった。貧しき身で武士として見事な振る舞いである」
と褒められ、次第に重用されるようになったとのことです。
なお、信長の「馬揃え」は天正9年(1581)に京で開催されています。正親町天皇まで招いて行われた盛大な軍事パレードでしたが、一豊の出世の時期と矛盾があり、この逸話の真偽は定かではありません。ですが他の逸話もあり一豊夫人が賢夫人であったことは確かでしょう。
また、立派な馬が武士にとってステータスであったことや、東国の馬商人が諸国を回っていたことなど、当時の様相を垣間見ることのできるエピソードではないでしょうか。
竹中半兵衛~名馬はいらない!?
山内一豊の逸話に反して、羽柴秀吉の有名な軍師竹中半兵衛重治は、名馬は不要としています。
その理由としては、名馬を持っていると、いざ敵を討ち取る好機に、名馬が盗まれたり逃げ出したりするのを恐れて馬を下りられずに機を逃してしまうので、乗り捨てても惜しくない馬が良いとしています。
山内一豊の逸話が事実だとすると、結果として土佐一国の太守になった一豊に軍配が上がるようですね(^_^)
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