古来から馬は日本人の生活と共にあり、特に武士にとっては戦友であり貴重な財産でもありました。ということで時代劇に欠かせない馬ですが、戦国時代の馬に関しては「騎馬隊は無かった」「馬はポニー」などいわれていますね(´Д⊂ヽ
そこで、戦国時代の騎馬に関して考えてみます。
騎馬隊の嘘と真実
映画などでは、騎馬集団が颯爽と駆け抜けたり突撃したりしますが、通常騎馬のみで組織された軍はありません。というのも、一般的な戦国時代の軍隊は、軍役等により集まった家臣や国人の集合体です。
それぞれ禄高に応じて、馬上○騎、弓○張、鉄砲○挺、鑓○本、旗○本等と定められ、ほかに軍夫などを合わせて小集団があり、その小集団を集めて備(部隊)としますので、騎馬武者ばかりではなく、徒歩の兵も必ず従います。
身分の低い足軽などで固めた鎗隊、弓隊、鉄砲隊などはありますが、馬に乗ることを許された身分の高い武士は徒歩の従者を伴っていますので、通常は騎馬のみの部隊はありません。
では騎馬隊というのは存在しなかったかというと、そうともいえません。大きな大名となると各家臣の子弟を集めて大名周辺を守る馬廻衆としたり、信長のように兵農分離を進めると特殊部隊を作ることは可能だったでしょう。伊達政宗が作ったといわれる騎馬鉄砲隊もこれに類するものだと思います。
ということで、戦国時代で全てが騎馬武者の軍はなかったでしょうが、限定的な規模の騎馬隊は活躍したのではないでしょうか?
戦国の馬はポニー!?嘘?本当?
戦国時代の馬は現在の西洋馬と比べると一回り小さい日本在来馬で、体高(肩までの高さ)は120~130センチ位であったようです。当時の名馬で140センチ位であったと考えられます。現在の分類では147センチ以下がポニーとされていますので、「戦国時代の馬はポニー」というのは真実といえます。
では、戦国時代の騎馬武者は、小さい馬に跨ったちんちくりんな様相だったのかというと、そうではないと思います。
というのも、戦国時代の日本人男性の平均身長は約155センチであったからです。
現代人は、日本人男性が約170センチ、アメリカ人男性が約176センチ、ドイツ人は約181センチ、オランダ人は約184センチだそうです。
そして現代の西洋馬の大きさはというと、世界で最も頭数の多いクォーターホースは体高150センチ位、大型馬のサラブレッドは160~170センチ位です。
人間の大きさと馬の大きさのバランスから考えると、現代人と西洋馬のバランスと、戦国時代の日本人と在来馬のバランスは似通ったものだと思います。
戦国時代の馬が小さかったのは事実ですが、それに乗る人間も小さかったので、案外バランスが取れたものであったのではないでしょうか。
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